U. gippa
(オオバナイトタヌキモ)
U. exoleta
(ミカワタヌキモ/イトタヌキモ)
U. gippa (オオバナイトタヌキモ)
U. exoleta (ミカワタヌキモ/イトタヌキモ)

学  名Utricularia gippa
命 名 等*****
和 名 等オオバナイトタヌキモ /U.ギッパ
分  布アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ
栽 培 法水棲種
栽培難度★☆☆☆☆
増 殖 法株別れ
特記事項*****

学  名Utricularia exoleta
命 名 等*****
和 名 等ミカワタヌキモ(イトタヌキモ) /U.エクセレータ
分  布関東から近畿地方、九州

 ◆あやしいコラム

左: U. gippa  右: U. exoleta

オオバナ コバナ
 
何やら胡散臭い話に聞こえますが、 U. exoleta U. gippa を別種として区分しているのは日本国内だけであります。

Taylorの分類によると U. exoleta U. gippa のシノニム(別名)、つまり同種とされており、この考えが現在世界的に認知されているために U. exoleta を独立種として扱うのは偏屈な日本人だけと言う状態となっています。 


実際、形態的な差は花の大きさ以外には無く、この花の大きさにしたって小さめに咲いた U. gippa と大きめに咲いた U. exoleta では逆転していることもままあり決定打ではありません。
更に言えば管理人のところでは U. gippa を遙かに凌駕するサイズの U. exoleta の花が見られたこともあります。 
 
従って花の大きさを判断基準として用いるには、同一条件で栽培した個体群としての U. exoleta U. gippa の花サイズを複数計測しサイズ分布を統計的に処理して有意な差を求める方法しか無く、1個体群を持ってこられてどっちか判断つきますかと言われても方法は無いと言えます。
U. exoleta

U. gippa

こんな違いがある

さて形態的に大きな差が見いだせない U. exoleta U. gippa ではありますが生態的には大いなる差があります。 

一つは繁殖力。 
成長力と言い換えても良いと思いますが、 U. exoleta は悲しいほど増えません。 
同量の植物体を瓶に入れ水を張り、1年放置した場合、10倍ぐらいの差が出ます。
 


もう一つは浮遊状態と沈水状態における差であります。

U. exoleta U. gippa は自らが絡まりあってマット状になり水面近くに浮かぶ浮遊状態と浅い水底の泥に塗れている沈水状態の2つの生活様式が見られます。

前述の繁殖力の一部とも言えますが U. exoleta は水底の泥に塗れている沈水状態時の方が浮遊状態の時よりも成長が良く、花茎を上げる率も向上し、花も大きめになります。
また、冬期を乗り越える率も沈水状態の方が高く、総じて沈水状態が U. exoleta にとって最適な生育環境なのでしょう。
 
ただ単に繁殖力旺盛な U. gippa では目立たない生育環境の善し悪しが U. exoleta ではハッキリしているだけかも知れませんが、少々妄想を逞しくすると水棲タヌキモから湿地性ミミカキグサへ変化を繋ぐミッシングリングかも知れません。

結論として種、亜種として分化するまで至ってはいませんが地方変異程度の違いがあると思っています。

我が家の U. exoleta

我が家の株の由来は故内藤翁が U. exoleta が欲しいとの管理人の希望を聞いて持って来て下さった兵庫県産であります。

花茎が5~6本上がる様になってから2~3年計測をした結果、 U. gippa との間に1.5~2.0倍の有意な差が見られましたので、間違い無く U. exoleta だろうと思っています。

ところが2015年9月に U. gippa を遙かに凌駕するサイズの花が見られたのです。
あぁー U. gippa が混じっちまったとその時は思ったのですが、そんな巨大な花はその時の一輪だけで、翌年は元通り。
生育状況は沈水状態で泥の中にかなりの密度、加えて過去最高の猛暑。
成長がMAXになったのでしょうか?
あるいは積算温度が超えたのか?

謎であります。
 


永く栽培していましたが、2020年の極寒の日に入れていたビンが底まで凍る事態の翌春、新たな芽が出ることは有りませんでした。至極残念。
どなたか確実な U. exoleta をお持ちでは無いでしょうか?
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