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寒地性ピンギグループの栽培法

P. macroseras
 寒帯または温帯の山地〜高山に産出し、原則的には積雪時の対応のために堅い冬芽を作るタイプの ムシトリスミレ(Pinguicula) 類です。
 日本産ムシトリスミレ(P. macroseras) と コウシンソウ(P. ramosa) 、他 P. grandiflora などがそれらに該当します。


 日本産は2種しかなく、アジア・ロシア・北米・南米にも数種ずつ自生しますが、主として欧州に産する栽培されるため、「洋ピン」と言う呼ばれ方もします。
   
 正直、初心者向けのグループではありませんし、管理人自身も巧く栽培できていません。 
 では何故ステップアップを記載するか?   
 管理人が食虫植物に出会った頃、日本産ムシトリスミレ(P. macroseras)は憧れだったためです。
   
 その昔は現在のようにwebで情報を得ることも出来ませんでしたし、 数少ない専門書には難しいとしか書いてありませんので泣く泣く諦めていました。   
 現在でも寒地性ムシトリスミレ類の栽培は、一種名人芸の世界に近く、一子相伝とか口伝の域であります。   
 そこで「憧れに到達するためには」の道を書いてみようと思います。



 寒地性ピンギグループの基本的な栽培方法
(a)栽培環境(温室等)

 温室やフレーム・ワーディンケースなど用意しなくても栽培可能でありますが、最低限、水切れ・湿度不足を起こさない様な工夫が必要です。
 特に入門者は、より失敗しにくいように栽培用の容器を用意することをお勧めします。小規模の場合にはプラやガラスの水槽を、やや多めに栽培する人は衣装ケースなどが便利です。
 なお、容器には専用のフタ、またはビニール等でフタが出来るようにすることが、冬季の空中湿度の保持のため必要です。


(b)植え込み容器(鉢等)

 3号鉢ぐらいが使い勝手が宜しいと思います。材質は素焼鉢でも駄温鉢でもプラでもOK。
 腰水と育肥を両立させる必要があるので余り浅い鉢は適切ではありません。
 なお深鉢は特別な理由が無い限りは用いません。


(c)植え込み材料(用土等)

 温暖な土地柄の方は市販の乾燥ミズゴケを水で戻したものを使用しない方が良いと考えます。
 寒地性ピンギは若干の肥料を施した方が良く、温暖な土地柄ではミズゴケが傷む確率がアップします。


 ミズゴケが傷むと柔らかいピンギの葉はすぐにダメになってしまいます。
 従って管理人はココピート主体の用土を用いています。
 詳しくはコラム:『自己満足の用土作り』に記載します。

(d)日常管理

 ピンギを植えた鉢を並べたらケースの底から水を2〜3cm張り、腰水(こしみず)にします。 水切れを起こさないように蒸発分は常に足し水をして下さい。
 ケースは明るい場所におきますが、夏場は遮光しましょう。

 温度管理としては、遮光や腰水の掛け流しの他に腰水循環やクーラーの利用が考えられます。
 管理人の栽培経験では必ずクーラー使わなければダメということはありませんが、吃驚するぐらい栽培が容易になります。
 使用上の簡単な注意を下記しましょう。


<クーラー(エアコン)を用いた栽培>

 クーラーを用い、日中28℃以下・夜間22℃以下ぐらいに温度差が付けられれば理想的ですが、各自設備とサイフに御相談の上、設定して下さい。
 クーラーは原則的に除湿装置なので、 クーラーの効いた屋内に簡易温室やフレーム・ワーディンケースなどをおく場合は保湿を、クーラーの風が直接植物に当たる場合は加湿する必要があります。

<クーラー(観賞魚用)を用いた栽培>

 観賞魚用クーラーは水を冷やす事しかできませんので腰水を循環する必要があります。
 水盤の側面にオーバーフロー用の穴を開け、観賞魚用クーラーに繋いだポンプから冷水を送り循環させます。
 経路にミスティング装置(霧化装置)を繋いで空気を冷やす方式も採用できます。
 各自工夫して下さい。


(e)冬芽の管理

 冬芽になったら、乾燥した空気に触れないよう保護してやります。
 土中湿度もあまり高くない方が良く、温度変化で用土が傷む恐れがあるので日に当てない方が良いでしょう。


 いっそのこと、掘り出してミズゴケにくるんで冷蔵庫保管が良いのかも知れません。
 冬芽の基部には新しい芽となる小さな珠芽が幾つも着きます。それを外して栽培すると増殖出来ます。

(f)育肥 

 何度も書くようですが、春の植え替え時に、マグアンプKをひとつまみ程度施すと充実した株になります。
 葉が傷みやすいので、追肥などは行わない方が良いと思います。

寒地性ピンギグループの基本的な栽培方法

寒地性ピンギグループのステップアップ

 原則、管理人が栽培したことがあるピンギ、または関心が深いピンギを中心に解説しています。
 違うルートがありましたら情報としてお教えください。   
 ステップアップの初門種・中級種・マニア向けのランクはあくまで寒地性ムシトリスミレ(Pinguicula) 類 の中ではと言うこと念頭に入れて置いて下さい。    


P. primuriflora
(a)入門編 
 
 寒地性ピンギを栽培するに当たっては、まずイソロバ節ピンギをある程度栽培してからにして下さい。
 イソロバ節ピンギの栽培でムシトリスミレ類の基礎的な栽培方法を学んでからチャレンジしなければほとんど無理と思われます。


 
 またこの間に食虫植物のイベントに参加し、上級者に馴染んでおくことも望まれます。

 次に栽培環境をどうするかの選択をします。
 無冷房栽培で行くのか冷房・冷却装置を導入するのか。
 冷房・冷却装置を導入して始める方は入門種は飛ばして中級種から読んで下さい。



P. macroseras
(b)初級編 
   
 日本産のムシトリスミレやP.グランディフロラ等の一部には寒地性ピンギ栽培の壁、暑さに弱い事を克服し、比較的栽培し易い個体があります。
 食虫植物栽培の先達が、温暖な場所で栽培し、暑さに強いものの選別を繰り返す(低地馴化)を済ませてくれているものです。


 ・ ムシトリスミレ/P.マクロセラス ( Pinguicula macroseras )の極一部の個体。
 ・ P.グランディフロラ ( Pinguicula grandiflora )の極一部の個体。
 
 低地馴化済みの寒地性ピンギが入手出来なければ無冷房栽培を試みる事はかなり難しくなります。これらを入手することが無冷房栽培の第一歩と言えるでしょう。
 入門編に書いた「食虫植物のイベントに参加し、上級者に馴染んでおくこと」はそういう意味です。
  
 冷房・冷却装置を導入するのに躊躇する方は、このコースを通らないと折角入手した寒地性ピンギをただ枯らすだけになるでしょう。
 
 なお、日本産ムシトリスミレの中で早出峡産が比較的容易との誤った情報が出ています。
 
 早出峡は高度が 400m と低く、早出産で流通している日本産ムシトリスミレが栽培し易い部類に入るのでそう思われがちですが、流通個体は低地順化済みであるし、早出峡の自生地は高度が低くてもムシトリスミレが育つという特殊な環境であるので間違っても山取などしないように。
 遠方の人が早出峡を往復するだけのお金を拙者にくれるなら低地馴化済みの個体を探して上げます。



P. grandiflora
(c)中級編 
    
 寒地性ピンギを栽培するに当たっては、北海道やある程度の高山に居住していない限り、冷房・冷却装置を導入することが望まれます。
 冷房・冷却装置を導入すれば寒地性ピンギの栽培難度はかなり下がるようです。


 ・ ムシトリスミレ/P.マクロセラス ( Pinguicula macroseras
 ・ P.グランディフロラ ( Pinguicula grandiflora
 ・ P.ロンギフォリア ( Pinguicula longifolia

 @ 観賞魚用のクーラーを利用
 A 冷蔵ショーケースを利用
 B 家庭用クーラーの利用
 
 その他、非常に高額ですがクワガタ飼育用のクーラーを用いている方もいらっしゃいます。温度・湿度の管理ともにかなりの優れものだそうです。ピカのワーディアンケースにピッタリとはまっていました。



Pinguicula alpina
(d)上級編(マニア)

 ここに書かれている物はまず入手出来ないでしょうが、海外から輸入出来る場合もあります。
 しかし普通の人は辞めた方が良いでしょう。


 ・ P.アルピナ(Pinguicula alpina
 ・ P.バリエガタ(Pinguicula variegata
 ・ P.アンターティカ(Pinguicula antarctica)

 P.アルピナはユーラシア大陸の高山に、P.バリエガタは周極(北極点周辺地域)に自生しており、P.アンターティカはメキシカンピンギの1種ですがチリやアルゼンチンなどの南極にほど近い寒冷地に自生しています。
 P.アルピナは挑戦している人もいますが、残りはまず入手が難しいと思います。


(e)禁断の世界
 
 日本固有種、特別天然記念物です。
 
 これについては禁断のコラム
 「コウシンソウ(P.ramosa)の栽培と入手について」
 を御参照下さい。


 ・ コウシンソウ/P.ラモサ ( Pinguicula ramosa
寒地性ピンギグループのステップアップ


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