D. rotundifolia
(モウセンゴケ)
D. rotundifolia (モウセンゴケ)

学  名Drosera rotundifolia
命 名 等Linne (1753)
和 名 等モウセンゴケ/D.ロツンディフォリア
分  布日本全域(沖縄以西を除く)、北半球全域
栽 培 法温帯休眠系ドロセラ
栽培難度★★★☆☆
増 殖 法播種・葉挿し・株別れ
特記事項*****

 ◆あやしいコラム

栽培難度が判定出来ない謎のドロセラ

モウセンゴケ。
「種の起源」で有名なC.ダーウィンが研究材料として著作「食虫植物」を残したほど良く知られていて、北半球全域に分布する食虫植物で有りながら栽培すると、栽培家・栽培環境に因って凄く難物であったり、驚くほど簡単だったりする謎のドロセラであります。

モウセンゴケと比較するとナガバノモウセンゴケ( D. anglica )の方が画一的栽培法から自分の環境に合わせた微調整というルートを使えるだけ簡単であると言えます。

これは産地にも因るようで、長いこと地場のモウセンゴケは栽培できないのに他産地のモノは良く増えると言う経験もしました。
今は両方栽培できるように為りましたが、同じ植え込み材料・隣り合った鉢で地場のモノが栽培出来ないのにはとても悩まされました。
種子から育てると比較的栽培環境に馴染むようでセッセと増殖に励んでいます。

栽培方法

初春の頃に休眠芽(冬芽)を植え込むのが最も安定した環境を作れます。
根は植物体を用土に固定する役割程度と考えて良いので鉢は深くする必要がありません。
写真は普通の3号鉢程度の深さを持つ角鉢ですが、平鉢で数多く植え込むと見栄えがします。

平鉢の1/3程度に底石を入れ、次の1/3にミズゴケを入れます。最上層の1/3は生ミズゴケとミズゴケを10mm程度に切り刻んだものを入れて休眠芽を植え込みます。
表面に鹿沼土等の細粒を薄く敷くと、藍藻などの繁殖を抑える事が出来ますのでお奨め。

盛夏の頃には生ミズゴケが伸びてきてモウセンゴケは埋もれてしまいます。生ミズゴケによる保湿や蒸散による気化冷却作用を利用するのです。
自生地では生ミズゴケに埋もれて生えていることはほとんどありませんが、栽培に当たっては生ミズゴケを用いる事がベターなことがおわかりいただけるでしょうか。


日照を絞ろう

Drosera rotundifolia は高温耐性があまり無く、平地で日光を浴びせながら栽培すると夏に調子を崩すことが多くなります。
特に花を付けた後はバテバテ。(自生地でもその傾向が見られます)

これを防止するにはクーラー等を用いて冷やしてやるのが最も優れた対処でありますが、そんな予算はありません。
従って芽出しから梅雨前まで充分に日に当てて栽培しますが、その後は通風の良い日陰に置いてやると夏越し出来ます。 


増殖は結構大変

5~7月に5枚花弁の白い花を咲かせ、種子も良く実るのですが、開花期に雨が多いと結実不良を起こす傾向にあります。

また種子は弱い低温感知の休眠性を持っており、取り蒔きをしても半数ぐらいが翌春以降の発芽になったりします。種子に2ヶ月ぐらい湿低温処理を施すと発芽率が向上しますので、発芽率を向上させたい人はお試しを。

葉挿しは5月頃の元気な葉を用いると失敗が少ないです。
捕虫部から不定芽を出すので葉の表を上にして、浅くミズゴケに埋め込み、日の当たらない場所で管理すると良いでしょう。 


赤花の謎

多産する自生地でDrosera rotundifoliaを観察していると、稀に赤花(ピンク)を見つけることがあります。

おぉ~突然変異発見! っと自宅に持ち帰り栽培すると翌年からは普通の白花になってしまうそうで、残念ながらDrosera rotundifoliaの赤花は遺伝的に安定したモノでは無いようです。

赤花になっているDrosera rotundifoliaは葉も真っ赤になっているので、葉で形成されたアントシアニンが細胞壁から漏れ出し、花を染めているのでは無いかと類推しているのですが誰か検証してくれませんかね。

var. heterophylla

type

これこそ突然変異

モウセン(=毛氈)の和名どおり、緋毛氈の如く草体が真っ赤に色づくのが基本でありますが、写真のようにアントシアニン欠損固体が三重県で発見されています。

私はアフリカナガバノモウセンゴケ( D. capensis )の呼称に合わせて、アルバ(alba)と呼んでいましたが、発見者はヘテロフィラと表記しているので、これからはそう呼称しようと思っています。

一般にアントシアニンが欠損すると日射耐性が低下し、栽培しにくく成るのですが、モウセンゴケのヘテロフィラはアフリカナガバノモウセンゴケのアルバと同様に丈夫で、寧ろ同一産地のノーマル個体より日射に強い感じがします。

但し、花付きに若干難があり、種子の稔りも悪いです。
増殖には葉挿しの方が手っ取り早いかもしれません。

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